映画『ニコトコ島』『石と歌とペタ』公式ページ

「なかなか聞かれへんかってんけど、僕ら、どこに向かってるん?」
ゆるりゆるりと、無為の時間の中で存在論的な問いをし続ける、圧倒的なオリジナリティ。
知られざる奇才、大力拓哉&三浦崇志の代表作2本がいよいよ一般初公開!
『ニコトコ島』『石と歌とペタ』
大力拓哉&三浦崇志 監督作品
シアターイメージフォーラム(東京)にて
10月14日(土)~11月10(金)

シネ・ヌーヴォ(大阪)にて
12月16日(土)~
2作品一挙レイトショー!

名古屋シネマテークにて
12月21日(木)
12月23日(土)

以降全国順次公開!
シネ・ヌーヴォ上映日

名古屋シネマテーク上映日

イントロダクション

大力三浦
根源的な問いを軽やかに問い続ける、知られざる奇才、大力拓哉&三浦崇志
2007年のデビュー作『タネ』からコンビを組み、以降2人組映画監督として旺盛に作品を発表し続けてきた大力拓哉と三浦崇志。

イメージフォーラムフィルムフェスティバルで大賞を受賞し、ロカルノ国際映画祭コンペティション部門に招待された『ニコトコ島』(08)は、細緻な構図によるモノクロームのヴィジュアルが圧倒的。
行間に存在論的な問いをひそませる軽妙な大阪弁のダイアローグを織り成しながら、三人の男がフェリーに乗って謎の島を旅するというただそれだけの物語に、なぜわたしたちは息を飲まずにはいられないのか。

ローマ国際映画祭で招待上映された『石と歌とペタ』は一転してビビッドなカラーに転じ、三人が「どこかへ向かう」ロードムービー?だ。「石」と「歌」そして全く正体不明の「ペタ」と名乗る者たちがそこに居て、言葉を発し、動くだけで、常に大きな問いが生まれ続ける過程は、ゆるやかなトーンとは相反してエキサイティングだ。

高い評価にもかかわらず国内では映画祭以外ほとんど上映されてこなかった彼らの作品がついに一般上映解禁。世界でも類を見ないオリジナリティを発揮し続けている大力拓哉&三浦崇志の作品は、引き延ばされた無為の時間に遊びながら、「生きる意味とは何か」「死とは何か」という根源的な問いを、いたって軽やかに問い続ける。
大力三浦
「ぼくら、じつは何もわかってないんちゃうん?」「そうかもしれんなあ」
大力&三浦作品は一貫して変である。しかしその「変さ」を語るのはひどくむずかしい
彼らの映画に流れているのは、ただおしゃべりをしてただ遊蕩する「無為」の時間であり、山や川や岩場や道は、そのためのかりそめの空間としてあたえられているにすぎない。にもかかわらず、いやだからこそ、彼らの空間把握は圧倒的であり、およそ写真のように完結している。ふたりのカメラが「石」や「岩」という鉱物に固執するとき、写真的空間はいっそうその「静」、あるいは「死」の主題を強くするだろう。

大力&三浦の映画の人物にとって、「生きていること」と「死んでいること」はほとんど等価であり、そこでは人は石や岩のように、生きながら死に、死にながら生きている。そしてその「在る」ことのふしぎさを、「ぼくら、じつは何もわかってないんちゃうん?」と『ニコトコ島』(2008)の男は云うのだ。このような存在論的ともいえる問いを、けれども彼らはいたって軽やかな話体で展開する。ゆるりとした大阪弁のそこはかとない可笑しみが、これまでの全作品をつらぬく独自の魅力になっている。

全作を貫通する彼らの死生観、存在論は、観客に明確な答えは与えてくれず、悪く言えばほったらかしだ。問題は提起した、僕達は映画を作る、あなたはどうする?と問いかけてくる。ただ映画をみているだけでは衝撃も衝動もあたえてはくれない。
彼らの作品は一貫して変である。しかしその「変さ」を語るのはひどくむずかしい。だからこそ大力&三浦の映画は重要なのだ。

作品紹介

ニコトコ島
ニコトコ島
ニコトコ島

『ニコトコ島』

(2008年/日本/47分/モノクロ/4:3/DV)
あらすじ
大力・松田・三浦の3人は船に乗る。
船に乗って、彼らは「どこか」へ向かう。
とある島に到着した3人は、どこへ向かうでもなく、
おしゃべりをしながら岩山や森を歩き続ける。
しりあがり寿氏等が審査員を務めた「イメージフォーラム・フェスティバル2009」でグランプリに当たる大賞を受賞、第62回ロカルノ国際映画祭にも招待された、彼らの名を世に知らしめた作品。
初期作品である『タネ』(2007)や、第4回シネアストオーガニゼーション大阪(CO2)助成作品として製作した『僕達は死んでしまった』(2008)から引き継がれたコントラストの強い硬質なモノクロ映像、計算されたフィックスのロングショット、哲学的な問いをし続けるゆるい大阪弁の対話で構成される、唯一無二の大力拓哉&三浦崇志ワールドの初期集大成である。
出演:松田圭輔、大力拓哉、三浦崇志
音楽:松田圭輔、大力拓哉
木のオブジェ:伊藤亜矢美
協力:西尾孔志
監督・脚本:大力拓哉、三浦崇志

イメージフォーラム・フェスティバル2009大賞 受賞
第62回ロカルノ国際映画祭(スイス) 招待上映
第47回ヒホン国際映画祭(スペイン) 招待上映

石と歌とペタ
石と歌とペタ
石と歌とペタ

『石と歌とペタ』

(2012年/日本・フランス/60分/カラー/4:3/DV)
あらすじ

石と歌とペタの3人は、出会い、一緒に旅をする。
目的地があるから迷う、ということに気付いた3人は、
目的を「いろんなところへ行く」に変更する。
話したり、遊んだり、歌ったり、夢を見たりしながら、
3人の現実と非現実の狭間の旅は、終わることを知らない…

デビュー作からコントラストの強いモノクロの画面にこだわっていた大力&三浦が初めてカラー映像に挑戦した作品。
アホな会話の中から本質的な問いを引き出す、独自の世界を展開する。
鮮やかなカラーが印象的だが、物語を解体していくような「動き」による遊びも随所に見られ「ムービー(動画)」の根源的な歓びに満ち溢れている。
ローマ国際映画祭に招待され、「CINEMAXXI」コンペティション部門で上映された。
出演:松田圭輔、大力拓哉、三浦崇志、中尾広道
音楽:松田圭輔、松永康平、ラシャード・ベッカー、大力拓哉
サウンドエディット:大力拓哉
タイトルデザイン:橋本新
協力:中尾広道、岡本珠希
プロデューサー:岡本珠希(CaRTe bLaNChe)、Dairiki&Miura
監督・脚本:大力拓哉、三浦崇志

ローマ国際映画祭2012 招待上映

監督コメント

大力
大力拓哉
2人で映画を作り始めて約10年たった。
10年で10本くらい映画を一緒に作った。

最近はだいたい週1くらいで三浦君と会っている。
今作っている映画のことを話し合うのがメインだが、ただしょうもない話をするだけの日もある。
よく話すのは、お互いが最近観た映画のことだ。
自分が観てない映画の話を三浦君から聞くのは好きだ。
観るのを楽しみにしている映画は別だが、話を聞いて想像するのは楽しいし、
勝手な想像からアイディアが出てくることはよくある。
ノートにアイディアがたまると、外に撮影に行きたくなる。

「ニコトコ島」のころから、僕達の映画には、ほとんど脚本がない。
「石と歌とペタ」はもっと何もない。
なぜそうなのかというと、映画作りのほとんどの作業を2人でするので、
どういう映画を作ろうとしているのかを2人とも分かっていれば、脚本はいらないからだ。
いいなと感じる場所で、面白いと思ったものをなんでも撮ってみる。
撮ってきたものを2人で観て、また撮影に行く。
それを繰り返すうちにだんだんと映画の輪郭が見えてくる。

新しく映画を作り始めるときは、毎回どうなるかわからないので不安もあるが、
とにかく外に出て、カメラでなんでも撮り出せば、いつも映画が始まる。
映画を作るのはとにかく楽しい。
僕らが楽しんで作ったものを観て、面白く感じてくれる人がいると最高に嬉しい。


三浦
三浦崇志

今回が初めての劇場一般公開、
ここまで長かった気もするけど好き放題に制作してきたことを考えると劇場公開自体奇跡的とも思える。

いつから映画を作っているのか自分でもよくわからなくなっている。
大力と一緒に何かをやり始めたのは高校生の時にバンドを一緒にしたことが最初。
でもほぼ同時期にビデオカメラで撮影して遊んでいた気もするのでどっちが先か今となってはよくわからない。
始めて映画館で上映された時はハッキリと覚えている。
僕の専門学校の卒業制作に大力と2人で作った作品を出したら選ばれて映画館で上映された。
自分達の映画が映画館で上映されることがホントにうれしかった。
特に観ている人たちが笑った時はたまらなくてこちらもニヤケてしまう。
映画を作ること自体楽しいけれど観てもらった人たちの驚きや笑いを感じた時はまた格別なのです。

今回の上映でも自分達の映画を面白がってくれる人がいることを願います。
そして気に入ってもらえたら応援してもらえたらとってもうれしいです!


監督プロフィール

大力三浦写真

大力拓哉(左)/三浦崇志(右)

共に1980年大阪府出身。2人は小学校からの幼なじみ。
2007年に『タネ』がイメージフォーラム・フェスティバルにて入賞。第4回シネアストオーガニゼーション大阪(CO2)助成作品として、中編『僕達は死んでしまった』(2008)を製作。同年自主製作した中編『ニコトコ島』は、イメージフォーラム・フェスティバル2009にてグランプリにあたる大賞を受賞、第62回ロカルノ国際映画祭のコンペティション部門「Filmmakers of the Present」に選出される。
翌年制作した、『コロ石』(2010)が、パリのポンピドゥー・センター(国立美術文化センター)で上映。『石と歌とペタ』(2012)は、ローマ国際映画祭「CINEMAXXI コンペティション部門で上映された。
その後も毎年新作を製作し、唯一無二の世界を常に更新し続けている。

大力拓哉&三浦崇志フィルモグラフィー(全て共同監督)

『僕の心の中には、いつも雨が降っている』(2005/34分/カラー/DV)
『タネ』(2007/50分/モノクロ/DV)
『僕達は死んでしまった』 (2008/55分/モノクロ/DV)
『ニコトコ島』 (2008/47分/モノクロ/DV)
『コロ石』 (2010/60分/モノクロ/DV)
『石と歌とペタ』 (2012/60分/カラー/DCP)
『Road Movie』 (2014/61分/モノクロ/DV)
『今日も順調』 (2015/116分/カラー/DV)
『ほなね』 (2016/72分/カラー/DV)
『Monologues』 (2016/34分/カラー・モノクロ/DV)

コメント

大力三浦
大力&三浦コンビの映画を初めて観たのは、ロカルノ映画祭だった。
もう10年近く前のことだ。
彼らの映画を観て、感嘆した。
こんな映画、作れやしないと思った。同時に、忘れていた大事なものを、思い出させてくれた。
映画作りに、自由はない。そう思っている。
インディーズで映画を作るときは、尚更だ。
なのにどうだろう。彼らは、一貫して自分たちの作りたい映画を自由に作っているかのように見える。
しかも、彼らにしか作れない映画を!
こんなに素晴らしいことはない。

小林政広(映画監督)

言葉を映像の中に置くという哲学的な行為とその映画的無化の過程...という言い方がやや正確でない事は百も承知だが、他に言い様がない。大力&三浦の映像作品(以下D&M作品)を的確に形容する方法がないのだ。例えば、全作品に通底する死生観や、一作一作の完結と未完の二面性、物の擬人化の逆である人の擬象化など、仔細に論考する事が不可能ではないものの、それぞれを掘り下げてみてもどうなるのだという諦念に嘖まれてしまうほどに、D&M作品は興味深い謎に包まれている。

『ニコトコ島』は3人の男が船に乗ってどこかへ向かう。そこが島かも知れないと分かるのはタイトルに「島」があるからで、どこでもない荒涼たる岩場や林が続く中を唯々歩き続ける。『石と歌とペタ』も3人の旅物語で、車によるドライブのようだが道に迷わないように目的地は無い。いずれも延々と3人のダイヤローグが続き、時として長い沈黙や「歌唱」が挟み込まれる。この2作に限った事ではないが、D&M作品の大きな特長のひとつが、その会話の完成度と間の巧みさである事は誰もが認めるところだろう。しかし実は各カットの画角やアングルや構図が誠に見事である点を見逃してはならない。スタッフの総てが登場人物であるため、ノーファインダーのカットが多いにもかかわらず、その画像設計の綿密さには脱帽せざるを得ない。

フェリーニやゴダールやジャームッシュをすり抜けて、このふたりの作家は、かなりの確率で全く新しい映画の地平を切り拓いて行くだろうし、今後の作品から絶対に目が離せない稀代の映像作家だと確信している。

櫻井篤史(映像作家・Lumen gallery(映像ギャラリー)ディレクター)

「僕たちはどこへ向かうか?」という問いが、「どこへも向かわない」という徹底した映像で描かれ、私たち観客は宙吊りの状態に置かれる。3人の男たちの歩き、たたずみ、ふざけ合う行為と、関西弁による脱力系の会話の中でのキラリと光る哲学的な言葉たち、それらを包み込む圧倒的な自然の風景が、即興のようでいて実は巧妙な仕掛けの中で描かれる。
説明し、どこかへ着地するといった常識的な映画の見方、感じ方を破壊し、恍惚の宙吊り状態と呼ぶべき新たな体験が迫ってくる、知的で詩的な驚くべき映画。

伊藤高志(映像作家)

「ニコトコ島」
どこへ向かう旅なのか、なんのための旅なのか、そもそもそれは旅なのか……よくわからない。まあとにかく、途上でくりひろげられる会話に、まずは耳を澄ませてみよう。「たら、れば」と「みたいな」と「なんで」が飛びかう(中学生的?それとも小学生的?いずれにせよ「男子」のユルい)その会話には、意外にも、存在をめぐる鋭利な問いが潜んでいる。

「石と歌とペタ」
彼らの小さな出来事をとりまく、あいかわらず大きな、いや大きすぎる自然。色鮮やかで明暗差の激しいその画面上、彼らはまた、目的のない旅と行為と会話に興じている。目的=ゴールがなければ、前に進むこともない。ただ移ろう彼らは、だからこそ「意味から解き放たれ、「在る」ことだけに専念する。……ところで大力さん、三浦さん、「ペタ」って何ですか?

福元崇志(国立国際美術館 学芸課 研究員)

『ニコトコ島』も『石と歌とペタ』も、出てくる三人組は生半可なこどもみたい。もしくは、生半可な原始人。退屈さとたわむれる、ということだけをしている。それだけをして生きているような、夢を造形した映画。わたしが彼らから目が離せなかったのは、たぶん羨ましかったからなんだろう。
意味の無い、目的の無い、価値の無い、その自由。
彼らの生半可さは挑発的で、かつ魅惑的だ。

岡田利規(演劇作家/小説家/チェルフィッチュ代表)

二人の映画を見てると笑ってしまう。そもそもロケーションが壮観すぎて笑けてくる。巨匠の絵画に中学生がイタズラしたみたいな宇宙的会話の内容(実は深いのかな)[子供の言葉にハッとする感じの]だけ聴いてたら、カワ良い気持ちになって寝ちゃうんだろうな。しかし!、画がカッコ良すぎて目も覚める。ニコトコ島って題名可愛いな。ぴったり。個人的には松田圭輔の石の投げ方がツボです。カワイイもカッコイイもある。

小橋陽介(画家)

彼らの映画を初めて観たのは十年前。
『タネ』という作品だった。
ああ、こんな映画が僕も撮りたいなあと思うとともに、
僕にはどうやっても撮れないんだろうなあとジェラシった。
その感情は肥やしとなって、僕の今の映画のどこかに潜んでいる。
今回上映される二作も、とってもいい。
いつまでも観ていたいし、
うんざりするこの世を離れて、彼らの映画の世界に行ってしまいたいと思った。

七里圭(映画監督)

劇場情報

都道府県館名電話番号公開日
東京 シアター・イメージフォーラム 03-5766-0114 10/14(土)~11/10(金)
大阪 シネ・ヌーヴォ 06-6582-1416 12/16(土)~

お問い合わせ

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